いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

椎名林檎 不惑の余裕で死ぬほど才能を浴びた

ねえ、MRI撮影して頂戴 今日の史上最強に仕上がった自分 完成しちゃうわ

(椎名林檎どん底まで」)

www.youtube.com

 

自分はMRIでもなんでもないが、マジで食らわされた。

結論が先行してしまって申し訳ないが、2018/11/25の椎名林檎は間違いなく「史上最強に仕上がっ」ていた。それの完成の瞬間に立ち会えたことに感謝の言葉しか出てこない。

2018年11月25日、椎名林檎さんの40歳の誕生日当日に行われた、デビュー20周年記念ツアー。それが自分の生まれ故郷でもあるさいたまの、しかも自分が成人式やったあのSSAで行われてて、こりゃあもう行くしかない!と思い必死こいてチケット探して行ってきた。

 

自分と椎名林檎さんの出会いは覚えている限りは家においてあるテレビがまだブラウン管テレビだった時代。ゴールデンタイムのドラマかなにかの間で流れていたガムのCMだった。

www.youtube.com

 

これの6本目で流れる「空が鳴っている」で当時小学生だった自分の中に訳がわからないくらいに感情が残ったのも覚えてるし、椎名林檎さんの眼力にかなり圧倒されて、中学入ってから地元のTSUTAYAで事変のアルバム全部借りて、そっから椎名林檎さんソロのアルバムもどんどん追っかけて借りて。多分事変も含めたら10年以上は継続して聴いている。

だが、自分がライブに足を運べるようになったときには事変はもう解散していて二度と生では聴けない(であろう)し、その年の椎名林檎さんのワンマンライブはなぜか台湾でしか行っておらず、当時高校生だった自分は諦めざるを得なかった。貧乏は罪。

それが今!自宅から15キロ圏内でライブが開催される!となったらもう向かうしかなかった。しかし最速先行を逃した自分は、400レベルの座席。わかりやすくいうと2階席後方。今までライブに足を運ぶ際には必ず半分よりは前の座席でしか見たことなかった自分がこんな座席で…と少ししょげた。隣の人なんかオペラグラス準備してるくらいだし…。

 

とか思っていた愚かな自分は開始6秒で一気にぶん殴られた。

何に?SSAに。いやSSAを作り上げてるアーティストたちに。

オーケストラもそうだし、ドラムスもベースも、ギターも、もちろん桁違いに広いステージを彩るダンサーも。全部が全部一流である。そんなの素人目から見ても伝わってくるくらいにパフォーマンスが完璧で、でもそれが椎名林檎、たった一人を彩るための装飾にしかならない。いやそう感じさせてしまうような椎名林檎の圧倒的な歌唱力、オーラ、立ち回り。一曲目の「本能」が始まってからサビまでずっとステージには登場していなかったのに登場してからのあの盛り上がり。もう絶対忘れられないな。やっばい薄っぺらい感想になってるけど、登場からもう三半規管全部持っていかれるような感覚。

三曲目の「雨傘」のサビ、リリースされてから何万回と聴いてたアレが音源以上の迫力で自分に浴びせられて、もうよくわからないけど、本当に涙することしかできなかった。

めっちゃ話展開させますけど、人間ってどんなときに涙を流すと思いますか?

悲しいとき?痛いとき?目にゴミが入ったとき?そうではない。

おそらく人間の涙というものは、自分の感情を表す手段がそれしか残されていない状態に陥ったときに溢れ出てくるもの、であるんだろうな。と今日この場で22年かかって椎名林檎さんに気が付かされた。

そしておそらく、人間は圧倒的な才能に直面してしまうと精神的に追い詰められるんだと思う。SSAの後方2階席から見える椎名林檎さんなんて本当に小さなものであるのだが、それを一流の人間が囲んで、その輝きを最大限に最高潮に増長させて、椎名林檎の世界をあの空間全体に広げられて、その才能がスピーカーから発せられるサウンドやら、照明やらの媒体を通じて自分に全部降り掛かってくる感覚。実像の椎名林檎さんと2階席後方の自分の物理的距離をいろんな媒介が0にしてくる。才能が0距離でこんな凡人に放射されて、どうしようもなくなった自分に残された選択肢はただひとつ。目から溢れ出るそれを拭うだけの作業でしかなかった。

 

セットリスト見てもらえば分かる通り、ほとんど歌いっぱなし。MCとかもう終盤ちょっと喋ってくださったくらい。

ステージから下がるときも曲名通り「化粧直し」で化粧直し。バックダンサーの紹介が入るのだけどもうそのダンス2時間見せてくれって思うくらい素晴らしかったし、バックで流れている映像にも没入してしまう。純度100%、混じりけがない、ずっと自分がオンラインで提供され続けてきた椎名林檎の世界そのまま。世界観からなにから全部が全部「椎名林檎」のアーティストとしての20年間を物語っているような、テーマパークよりテーマパーク。大阪万博椎名林檎パビリオン作ってもらいたいくらいに洗練されてた。てか、いままではバックステージ面にのみフォーカス当ててきたんですけど、普通にコラボしてるアーティストも勢揃いしててマジでチケットだい4桁でいいの?くらいな気持ちになった。だって普通、アンコールでレキシさん出てきます?いや、ない。出てこないのに出てきてくださるんです。エレカシ宮本さん、再登場してくると思うます?出てくるんです。トータス松本さん、撮り下ろし映像で参加するんです意味わからん。

ごめんなさい、本当にアレなんですけどこれライブ終わりでアドレナリンバンバンのアルコールビタビタの状態でセトリ見直しながら書いてるから効果音とか大げさな表現とか多くなってて読みにくいしくどいと思うんですけど、セトリ見てもらったらわかると思うんですけど、本当におかしいんですよね。ハズレ曲(もともとそんなモノはないのだが)が皆無。ここでこれ?というものが一切なくて、もう息つく暇もないっていうレベルじゃないんです、息が、できない。23曲もやってたんですけどその半分くらいしかやってないような、まさに長く短い祭。とりあえず今回のプレイリストをLINE MUSICで作るやつします。しばらく抜け出せそうにない。早く映像化してほしい。長く短い、して終わらない祭。一番大事なこと忘れてた椎名林檎さん誕生日おめでとうございました。