いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

ビジネス書の語られない1割 2020/09/10

溜まったメールをどんどん返していく。この一日のスタートの仕方はなんだか精神衛生上よろしくないように感じられる。たった3通でこれなのだから、社会人なんて自分に果たせないような気にもなってくる。

成り行きで説明会に参加。父親から半ば尻を叩かれながらエントリーを増やした企業の説明会。IT企業であるはずなのに、履歴書が手書き郵送オンリーなんていうかなりアナログチックなところですら、選考に進むことを阻むハードルになってしまうようなスタンスでの就職活動。なんだろう、内定もらった瞬間に日和ってしまっているな。

自作の夏野菜カレーの残りを腹に押し込んで、説明会へ赤坂に向かう。電車の中で見かけた入道雲があまりにも無意味に大きくて、立体感があって、なんだか見とれてしまった。別世界のもののようで、2分くらい眺めてしまった。その衝撃をなんとなくラインに投稿してみたが、何も反応がない。まぁでもそれもそれでオツだよなと感じた。この入道雲の特別感は俺だけが知っていればいい。

「前澤さんのお金配りツイートをRTしている友人がいると、なんだかガッカリしちゃう」とか「芸能人に心無いリプライ送っている人のアカウント飛ぶと、だいたいお金配りをRTしてる…」なんていうことを言いのけているアカウントが、お金配りをRTしているアカウントと同じ位苦手だ。

そういうアカウントをRTしている人らにとって、その人は「お金配りをRTしてるところを見られてもなんら不都合のない人」という認識をされている、要するにナメられてる、軽視されているからこそ起こる事象であると思っている。大多数の人が、自分のフォロワーに吉岡里帆がいたら絶対に見栄を張って、お金配りのRTなんかしないだろう。友人がそういう行動をしてしまっているのは自分にそこまで魅力がないから、なのではないだろうか。そういう部分に目を瞑って、相手を軽視している様子はどことなくお門違いのように思える。仮に、そのお金配りをRTしているアカウントの持ち主だって、そのことを隠しておきたい存在はいるのだろうし、その存在を集めたアカウントではそんなツイートに触れずに生活をしているのだろう。自分がそこの領域に入れないだけである可能性を度外視してポジショントークをしている様子は正直見てられないな。という印象。そういう自分よがりなところが苦手ってだけ。

説明会の最寄り駅に、30分ほど余裕を持って到着した。時間つぶしに近くの本屋に寄った。ビジネス書や文庫本の新刊コーナーを眺めて、興味を持った本のタイトルをラインのkeepメモにメモっておく作業。購入する機会があってもAmazonを利用しての購入になるので、本屋側からしたら、下手したら立ち読みよりもタチの悪いウィンドウショッピングをやってしまった。少し罪悪感。

ビジネス書のタイトルで〇〇が9割。なんて誇張されたタイトルをたくさん眺める。もっとそれ以外にも大事なことって、人生にたくさんあると思うのだけど。そういうビジネス書のタイトルから省かれた重要ではあるが記載されない1割の要素をかき集めて、社会で通用する自分を形成してやりたい。

制作会社の説明会。開始20分位で来たことを後悔した。代表の人脈で仕事を持ってきて成り立っているような企業らしく、代表のウェイトがやたらに強い会社であることが露骨に伝わってくる。説明会は2時間の予定であったが、予定よりも多い2時間半もの時間をぶっ通しで代表の武勇伝で終わらされた。事業説明を2分したら、その事業に携わる自分の武勇伝を20分。そんな感じで進む説明会。愛想笑いも90分が限界で、その後はずっと真顔で聞いていた。本来採用担当であったはずの社員は、初めに挨拶こそされたものの、説明会中は後ろで本を読んでいる始末。結果として、70人の従業員がいるのにも関わらず、代表の顔しか見えないような有様だった。本当に怖い。

さらに怖かったこととして、嘘か本当かは知らないが、自分の人生経験の深さをアピールするためにだろうか、自分の親友が仕事を苦にして自殺したことを初対面の自分らに向かって暴露してきたところでゾッとしてしまった。自分の友人の死でさえも、こうやって自分の武勇伝として語れる人が経営者なんかやっているのか。社員が過労死しても、同じような扱いをするのだろうと思うと、もうこの時点で何も信用できなくなってしまった。二度と合わないぞ。という気持ちを込めて、説明会会場を出る際に人一倍大きな声で退室の挨拶を済ませた。

寄り道なんてする気力も全て持っていかれた。空腹のまま帰宅して、少し暗くなった道を適当に犬を歩かせた。家族に散々今日の説明会の愚痴を話したが、対して理解を得られなかった。あの体験をしてみないと自分の違和感を体感できないとは思うが、あの空間にはもう誰にも触れてほしくはなかった。8月後半から9月に参加した説明会、だいたい何か不安になったり違和感を感じてしまうものばっかりで嫌になってくるな。これ以上就活を進めても無駄かもしれないと思えてしまう。自分が前を向こうと励んでいるのに、世間がその意思をへし折って来ようとしているように思えてしまう。世間にもう少し期待したい。いや、自分が世間に過剰に期待しているだけなのかもな。