いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

悪手が握手を求める日 2020/09/03

世の中には、なにかしらの帳尻をあわせるための見えない力みたいなものが、必ず働いているのだと思う。そうでも思わないと今日の自分への仕打ちは許せないものが多かった。

朝方の面接。一応現段階の第一志望郡。初任給もこちらが一番高いし、ないより待遇も世間体も申し分ない。かなり社員層もほがらかで、ここならやっていけると強く思える企業の面接。最近の好調子を保ちながら、もはやお決まりとなっている自分の成り立ちを披露していく。あちらの人事目線からしたら好感触に写っているようには感じられた。途中で飼い犬がめちゃくちゃに吠えだしてしまって焦ったが、そちらも笑って見過ごしてくれる始末。なんか逆にここまで人柄が良いと落とされても仕方がないと思えてしまうが、そこをどうにか通過させて頂けないか。と言いたいのをこらえてオンライン面接を終えた。

少し遠い場所で、本日の第二ラウンド。その前に面接会場の最寄りの珈琲館でランチをする。別に自宅で食べても余裕で間に合う時間ではあったが、財布の中身もまぁ肥えているので、つかの間のブレイクタイムにはうってつけであった。本当は、コメダのコメ牛なるものを食べてやりたかったのだが、近くに店舗がなかったので断念してしまったのは内緒で。注文の列に並んでいる間は喫茶店仕込のビーフカレーなるものが気になっていて、完全にその口になっていたのだが、注文の直前でランチ限定のホットサンドを見つけてしまい、一気に方向転換。ホットサンドを注文した。ホットサンドメーカーで豪快にアウトドア飯や酒のつまみを作るTwitterアカウントの動画を見てから、ホットサンドに対して少し特別な感情を抱いてしまっているので、若干考えるのを辞めて、脊髄反射的に注文してしまった部分もあったが後悔はしていない。いざコーヒーをもらって、座席を確保しようとしたらここにもソーシャルディスタンス。使用できる席がかなり限られていたので一瞬戸惑う。その後すぐに、室内の喫煙所横の角席のような場所が空いているのを発見したのでそこを確保した。これが悪手。透明な小屋のような喫煙所を利用する人間から、自分の座席はかなり丸見えで、ヘタをすれば自分の携帯の画面なんかも喫煙所の中の人間に筒ぬけになってしまいそうな勢いであった。もじもじしながら携帯をいじるがいかんせん落ち着かない。エアコンの結露が一番ひどい席の真下で書物の作業をしている頑固な人を眺めながら、後から運ばれてきたホットサンドをかじった。

喫煙スペースにもしっかりコロナの影響は現れていて、一度に利用できる人数が2人までと定められているようだった。なので、タバコを吸いたくても吸えない人がもどかしい思いをしながらチラチラと喫煙所の空き状況を確認して、誰かがタバコを吸い終わると、速歩きでまた次の誰かが間髪入れずに喫煙所スペースに向かっていくような光景が見られた。さながらトイレの順番待ちのようで、喫煙というものは一種の生理現象のそれなんだろうな。なんて思えた。

そんな、少し落ち着きのないカフェのトイレでネクタイを付けて、第二ラウンドへ向かう。5分前到着。本日2周目の自己PRは自分でも満足できるくらいに口が回ったが、それが悪い方向に影響してしまった。まさかこんなことがあるなんて。面接官の癪に障る態度を書き連ねていけばキリがないが、要約すると「キミみたいなゴリゴリの文系チックなコミュニケーションを取ってきた人間がウチに入社しても、周りが根暗ばっかりなので確実に悪目立ちするのでおすすめできないよ」とのことだった。未だに納得いかないセリフの一つに「できるできないじゃなくて、キミ自身のハッピーを考えて、こういう提案をしているんだよ?」なんてセリフ。自分の積み重ねてきたものが原因で門前払いを食らう日が来るなんて。正直言って納得がいかなかった。その人事の、自分の会社の人間を少し馬鹿にした様子で卑下してくるような感じも鼻についたし、そしてないよりここまで足を運んだ労力だったり、ここ最近の好調子だった就活状況をこんな一回の面接で台無しにされること事態が非常に残念でならなかった。今までの面接では、あきらかに自分に落ち度やツッコまれるようなスキがあった分、自責ということで割り切れたが、今回に至っては自分はどこもミスしていないはず。自分を美化できる最高打点まで美化した結果、あなたにこの会社は向いていないと伝えられる。どうも、イマイチ、上手く消化できそうにない。

むしゃくしゃした。むしゃくしゃを解消するためと理由をつけて、昨日youtubeで見た動画に登場したサーティワンのアイスを食べにいく。昨日見た動画で、一番シンプルなバニラを注文した人が袋叩きになっているのを見ていたせいか、できる限り変わり種を選ぼうと自然と思考が寄ってしまう。カシスとチョコが混じったやつと、ブルーベリーとパンナコッタ(パンナコッタってなんだ)が混じったやつのダブルサイズに決める。前に注文している人間がバラエティパックなんて手間のかかるものを注文していたから、メニューが決まってからもしばらく列で待っていたのだが、そこでもさらなる悪手。

そのタイプの服しか身体が対応していないのだろう。しぼりの一切感じられないワンピースに身をまとい、自分よりも手入れされていないがさつな肌と髪の毛を垂らした大女が自分の後ろに並んでいた。自分が前に並んでいるのに、よほどアイスが食べたいのだろうか、列を無視してデカイ図体を乗り出してアイスを選んでいる。そこまで熱心にアイスを選ぶ様子はやはりデカくて汚いからだろう。少し異質に映った。その流れで自分が注文を聞いてもらっているときに列を抜かして、注文をオーダー。何食わぬ顔で自分よりも先に会計を済ませようとしていた。ブヨブヨの指で、器用にも日本の指を使って600円を挟んでいる様子の大女に横入りを指摘したら「エッッ…」なんてあっけに取られた様子で何も謝ってこない。挙句の果てに大女のオーダーのほうが先に提供されてしまい、なぜか気まずい空気になってしまった。自分は単なる横入りを指摘しただけなのに、なんでこんな思いをしないといけなかったのか。

さらに悪いことは重なるばかりで、イートインの座席が、その大女の隣か真向かいのテーブルしか空いていない始末。少しでも距離を取りたかったので、向かいのテーブルを選ぶ。しかし、自分のことを抜かしてアイスを手に入れた、脂肪が瞼にまで巡ってしまい、視界が極端に狭くなっている大女がチラチラと視界に入ってくるのには変わりない。むしゃくしゃを糖分で解消するためにアイス屋に寄ったのに、そのアイス屋で余計にむしゃくしゃさせられる始末。ストレスで味覚が鈍って、アイスの味なんか半分も覚えていない。なんだったんだ今日は。