いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

ラッキースケベなんてなかった 2020/09/05

何か悪い予感がして、9時に目が覚める。幸い何もない。強いていうのなら、外出の予定があるのに、嫌になるくらいに日差しが照っているところだろうか。朝食のホットサンドを適当に食べながら、14時の予定までうだついて過ごす。

バイトの後輩に、休業給付金に関しての資料を共有する。自分としては特にそれを教える必要もないのだけど、自分だけがこの制度を使っていくらか金額をもらえるようだったら後から罪悪感のようなものを感じてしまいそうだったので、それを払拭するための情報共有。だるがられていないといいけど。

コロナ禍の中で、大衆居酒屋を飲み歩くと親に伝えると病原体のように扱われる始末。もう予定として決まっているのだから仕方がないと強引に説得して赤羽に。赤羽駅の妙な汚さは自分の好む池袋とは似て非なるものに思えてしまう。

配信アプリの常連の人と初対面。普段テキストでしか関わっていない人からは伝わってこない人柄を知りながら初対面の人とせんべろ酒場を渡り歩く。怖そうな印象を持っていた人が全然柔和な表情していたり、いろいろな部分でのギャップがあった。もっとじっくりなぶるように一定の距離を保ちながら接するスタンスで参加するつもりだったのに、思った以上に楽しくてそんなことを気にせずにガンガンに酒を煽ってしまった。

大衆居酒屋のトイレはだいたい質素なもので、扉の作りとかも心もとないものである場合が多い。自分が一軒目に行った居酒屋も例外ではなかった。掘っ建て小屋に臨時で漬けられたようなトイレを利用しようとしたら、鍵が上手くかかっていなかったようで、ドアを開けたら用を足している真っ最中の見知らぬ女の人と鉢合わせる羽目になってしまった。こんなのアニメでしかない機会だと思っていたので、流石に反応に困る。どうしていいか分からなくて2秒くらい固まってしまって申し訳なくなった。世の中ではこういうシーンを「ラッキースケベ」というらしいが、体感した身としては全くラッキーではない。鬼困りスケベ、に改名するべきだと思う。

二軒目は大型店の離れの店舗で開催。自分は一軒の店でずっと飲むか、それこそ歩きながら飲むかの二択なので、店をコロコロと変えて飲むのは新鮮に感じられる。今日はかなり体調も良いので、テンポも変えずに酒を飲める。昆布焼酎なるものがドリンクのストックにあって気になってしまったが、それに手を出すこともなく移動。

タバコを吸わない身分からすると、禁煙の店舗が増えていくのはいいことなのだけども、喫煙者と行動することになると、その人のタバコ休憩を適度に挟まないといけなくなるのでそこがネック。3件目にもなると、一緒に飲んでいたメンバーがグロッキーになりながら、タバコの休憩もはさみながらなので会話のリズムも少し崩れてくる。串カツ田中に来て、串カツをほとんど食べないなんてことをしようとしたが、我慢できずに紅生姜とアスパラだけつまんでしまう。

4件目のホルモン屋で、自分のトラウマをえぐられる。初対面の人から見た自分は、目が笑っていないから不安になるし、そこが弱みになっていく。といったようなことを言われた。目つきの話は高校時代の部活動の顧問からも強く言われていた側面があるので、社会人経験豊富なメンバーからの人生相談と言った形の理詰め、アルコールが入ってる自分には鈍くではあるが、確かに効いてしまい思わず目頭が熱くなる。一度冷静になる必要があると判断して、泥酔した身体を外に避難させた。ほぼないに等しい土地勘で、公園を探しながら水を飲んで赤羽を駆けた。こんなところでも格好がつかないのが自分らしく、外に出て5分足らずでゲリラ豪雨に襲われる。すかさず戻ると、喫煙所に飲んでいたメンバーがいたので、そこで諭される。酔っ払って人生観を語られれても、対して身に残らないのが常であったが、その人の話はなぜかスーッと染みてきて、今も記憶に残っている。昔付き添った先輩に似ているからだろうか。なぜか他人とは思えなかった。

5件目まで来ると何を話しているか記憶が定かではない。とりあえずガヤガヤしているので、その音に合わせてガヤガヤと盛り上がった。配信アプリでつながった集団なので、この時間になると配信者の配信のコアタイムであるので、皆が皆、揃って配信を確認しているのが異常であったが面白みもあった。自分の向かいの席にいた、男女2:2で飲んでいる人らの会計シーンが見えた。男同士で女性の前で千円札のやり取りをする光景。割り勘の金額を工面しているんだろう。隣にいた社会人から「あんなダサいことはしたくないよな」と同意を求めら、深く頷いた。ダサいことはしたくない。こういう行動原理で動くのもあながち間違ってはないのではないか。

かれこれ9時間近く酒を飲んだ。全身が酒浸りになって、電車を寝過ごす。マスク越しの自分の息がアルコールに包まれているのを感じた。最寄りにつく頃には夜も更けていて、空いている飲食店が吉野家しかないような状況になっていた。妙に味の濃いものが食べたくなり、食欲のままに来店。小盛りの牛丼も食べ切れるか不安だったのだけど、足りないと嫌なので並盛を注文。スルスルと胃袋に収まっていく。酒の影響でタガが外れているのだろうか。全く満足することもなく、あろうことか並盛をもう一杯注文。なんなく食べ切って帰路につく。自転車が少しふらつくくらいには酔いが回ってしまったし、空腹が満たされたことで眠気にも襲われる。帰宅して2分足らずで服を全て脱ぎ、パンツだけ履き替えて力尽きた。