いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

アフターコロナと明治通り。2020/08/28

変に臨時収入を入手してしまった影響で、変に寝付けずに3時半まであぶく銭の使い方を考えていた。結果としてはなんともくだらないものになりそうであったので保留。色々一段落したら購入する予定の娯楽のために取っておくか、サンダルでも買い直すかの二択だな。

何も食べずに面接に向かおうとしたら、命知らずみたいな扱いを受けてしまったのでバナナ一本胃袋に押し込んでいざ面接へ。ハッカ油を染み込ませたマスクとハンカチが自分の支えとなるはず。カンカン照りの暑さに相まって、今日参加する企業の面接に乗り気になれずに仮病まで考えたりしてしまう始末。コロナの影響で、薄い関係性の人間との約束は簡単にないがしろにできるようになってしまったためにそういう甘ったれた選択肢も頭に思い浮かんでしまう。ギリギリ踏みとどまってやった。

駅から遠いし、やたら暑いしで、我慢できずに面接の10分前に入社。あちらの都合上人事と時間つぶしの雑談コーナーが展開された。履歴書から出身高校を見られ、そこを掘り返される。どうやら人事が自分の先輩であったらしい。なんとも言えなかった。これが自分が3~5月に見ていた企業だったらどんなに嬉しかったことだろう。今はもう滑り止めも滑り止め。ギリギリ社会進出を狙うために受けているような会社でめぐり会った人事が同胞というのが、なんとも苦しい現実であった。お前は高望みしすぎたのだ。ここがお前のボーダーラインだぞ。と履歴書の学歴欄から殴られているような感覚。気持ちが下がっていくのを必死でこらえながら、相槌をうった。

面接本番。ヤクザが座るようなソファに座らされ、応接室で面接。どうでもいい企業ほど肩の力も、口の力も抜けてつらつら喋れる。こんな簡単なことに今まで自分は手間取っていたのか。そうとまで思えるくらいには口が回った。ああ、今までの失敗はこれが原因なんだ。この企業に入れなくても死ぬわけではない。そんな心持ちで喋ることが重要だったのだ。企業が求めているのは仰々しい肩書ではなく自然体。そんなことに気がつくまで5ヶ月も経過してしまったな。どうでもいい企業で過去一番に手応えを感じながら、作文を書きなぐって帰宅してやった。面接の反芻よりも、汗で肌に張り付いてくるYシャツの不快感を取り除くほうが自分の中では優先度が高かった。

大学以外の「学校」とつくような場所は、ほとんど平常と言っていいくらいには業務が再開されているようだった。ちょうど帰宅時間と重なっていたようでたくさんの学生とすれ違った。最寄りの電車では、なぜか9人くらいの高校球児に身の回りを固められ、無駄にプレッシャーを感じながら帰宅。シャワーを浴びてとんぼ返りで家を出る。久々の友人とのツーマンセルでの街歩きだ。

スーツを脱いでダボッとしたパンツと、適当なTシャツにサコッシュ。サンダル。スーツを着ているときなんかよりも格段に身体が軽い。軽い身体を引っ張って、待ち合わせ時間よりも早く新宿に到着。暑いので少し歩いて、紀伊国屋書店に避難した。もう流石にコロナの影響なんか言ってられないのだろう。普段どおりの人通りの新宿を歩き、紀伊国屋に入ろうとしたときに、書店前で待ち合わせしていた男性の前にピョン、とワンクッションジャンプを入れてぶりっ子めいた登場を見せる女性と鉢合わせてしまった。こういう自分にベクトルの向いていないぶりっ子を、予期せぬ方向から摂取してしまうとダメージとはまた違う、なにか罪悪感のようなものが消化不良でモヤモヤしながらずっと引っかかってしまう。自分に見せられてるわけでもないし、放っておけばいいのに、なぜかきれいに流しきれないのが嫌なところ。

本屋で、誇張しすぎたビジネス書のタイトルに苦笑していたら友人と合流。気がついたら働き方2.0が5.0までアップデートされている話を出会い頭にしたらしっかり笑ってくれて安心。そのまま行きつけの中華のチェーン店へ向かう。まだピーク帯とは決して言えないような時間帯の入店。隣の中国人同士のカップルがほとんど会話もせずに携帯に向き合っている様子が悪い意味で現代的であった。

お腹いっぱいになるまで中華をつまんで、それぞれ2杯ずつ酒を飲んでも4000円程度。コスパ最高すぎて毎回ビビらされるが、これがこの店のスタンダード。腹も満たされたし散歩に向かった。新宿から明治通りを下って高円寺を目指す。オフィス街を抜けて、公園を抜けて、住宅街に足を踏み入れながら、目に入るものにどんどんとツッコミを入れて、ソレに対して友人がコメントしていくスタイル。こういうときのお供として、昔はもっぱらソフトアルコール飲料を選んでいたが、お互いに老けたというか、丸くなったのだろう。無理をしない範囲でソフトドリンクや炭酸飲料をお供に歩いた。マスクは暑いがそんなことは気にならない程度には気が紛れる。途中でマスクを外してジュースを飲んでいたら、地域の住人であろうおばさんから「マスクをしていない…」とぼやかれて怖かった。自粛警察に遭遇してしまったのかもしれない。通りすがりの人間で、自分に危害がなくてもマスクを外で外している人間は驚異とされてしまうものなのか。

高円寺まではたどり着けずに、東高円寺あたりで進路変更してしまい再び新宿に。この時点でもう10kmくらいは歩いているのだから面白い。疲れを感じながら、都庁近くのセブンイレブンでトイレ休憩。そんなセブンでは、ドリンクを陳列してある冷蔵庫の取っ手にそれぞれ自転車の施錠に利用するチェーンロックが取り付けられていた。何事かと思って、注意書きを見てみると「ドアノブに触れなくても、腕のみで冷蔵ドアを開封できるように配慮しました」とのこと。正直言ってやりすぎくらいに感じられて、このコンビニ自体が薄気味悪く感じられると同時に、震災がキッカケで貴重品を全てウエストポーチに入れて常備するようになった中学1年当時の担任のことを思い出した。本人にしか分からないような奇行に走るタイミングって、いつだって非常事態だったな。非常事態のときの対応こそが、その人の本質からの行動だったりするのかもしれない。そんなことを友人にぶつけてみたけれど、あまり共感を得られなかった。

そのまま適当に、明治通りを逆走。渋谷を目指した。あまり連絡の取れていない先輩の自宅が近くにあったので合流がてら連絡を試みたがそう上手くいくはずもなく。渋々渋谷へと再度進む。新しくなった渋谷横丁を覗いてみようと思ったら、御霊祭りくらいの人だかり。挙句の果てには遠くから眺めていただけで通りすがりの若者から、友達と間違えられて「ケント!ケント!」と声をかけられる始末。前に宮下公園を歩いていたときに感じた渋谷に集まる人の嫌な部分が煮詰まっていた華金であったな。結果36000歩近い歩数をサンダルで歩きぬき、足が少し吊りかけながら帰宅。明日も早いがもう3時。今日の夕方は久しぶりに濃密であったな。書こうと思えばあと3000字は書ける出来事はあるが、我慢。明日の自分だって大事だもの。