いちごのヘタ

頭の中にいれておいてもしょうがないこと

ほら、ここでも答え合わせ 2020/06/09

夏日。一日の中で一度でも暑さを体感してしまうともうダメだ。身体が「今日は暑い日なんだ」と認識してしまい、普段なら耐えられるような暑さでもだるさを感じるようになってしまう。そのせいかいつも以上に朝から空腹に悩まされてしまった。普段だったら昼までジャスミン茶以外のものを口に入れないのだが、今日に限っては冷凍のご飯に永谷園のお茶漬けのもとをかけたものを食べて空腹をごまかす。動画サイトのランキングをチェックしながら明日受ける企業のパンフレットを眺めておく。昼にざるそばが用意されていたが、身体が「暑い日」のモードであったから食欲が湧かず半分くらい残した。

4週間ずっとオンデマンド教材を使いこなせずに、規定の時間に毎回数分遅れて教材をアップロードする講師がやっと、やっと規定通りの時間に教材をアップしてくれた。そういう細かい変化が自分の生活の中で見られるとやはりグッと視界が明るくなるように思える。講義はいつもどおりで、学術としての倫理が語られていて、それを学術の一部として取り入れる。それだけのことだけど、その入口にあった小石程度のノイズが取り払われただけでも以前よりも集中して講義を聞けた。

アルバイトを6月から始めた友人がランチで悩んでいた。一週間前くらいに自分が感じた「外出自粛で何を食べたいのかわからなくなる」感覚が自分だけのものではないように思えてまた安心できた。ほら、ここでも答え合わせ。思考停止でたぬきうどんを週4ですすって、たまの一日にラーメンを食べる2019年後期の生活が懐かしく思えてきた。

アンジャッシュ渡部さんがいきなり活動自粛。自粛、の一言からコロナ関連だとパッと連想してしまったが違うらしい。

”理由について、視聴者が不快に思うようなスキャンダルを起こしたことを挙げ「番組に迷惑を掛けたくない」と説明している。”

とのことだったが、実態はどうなのだろうか。こういう書き方をされると不倫を連想するが、噂だとDV説が濃厚だ。

このニュースに対する関心のゴールはどこなのだろう。「佐々木希クラスの女性に承認された人間でもスキャンダルを起こす」という物珍しさ、というものがパッと思いついたが、これもしっくりきてない。

でも渡部さんが”アンジャッシュの渡部”としてではなく”佐々木希の夫の渡部”として世間に消費されている様子からするにこの方向性は間違っていないのだと思う。様々な人が様々な憶測で佐々木希の夫の社会的失態を探ると同時に、女性のアカウントが発した「佐々木希が嫁でもスキャンダル起こすのだから男はもう駄目」というツイートが自分の中で強く心に残っている。

ホモソーシャル的な環境では”トロフィーワイフ”という言葉が浸透しているが、そのトロフィーがあまりにも立派であると、そのトロフィー自体に旦那としての存在が食われるようなこともあるのだろう。

世間が彼に対して貼り付けた”佐々木希の夫”というラベルは恋愛市場の観点で使用されるバーコードリーダーに透かすと”佐々木希をおとせる成功者”と映るようで、その市場の人間からしたら完全にゴール。モテるモテない抱いた抱かないの環境からの「あがり」切った存在だった。その自分たちの目指す場所での思わぬ事件。自分の目指す成功モデルがぶっ壊れるような衝撃だったのではないだろうか。まぁなんにせよ、佐々木希の夫の明日はどっちだ。

昨日読んだ批評がキッカケで実に一年ぶりにコンビニ人間を読み返した。結果としては主人公に少なからず共感する人間もいるのだろう。と考え直せた。

世間が重要に思っている事柄が主人公にとっては全く関心のないもので、主人公はその関心の尺度が異なることを理解し、干渉しない。それどころか自分が少数派であることを自覚して、多数派に寄り添う姿勢を見せている。しかし主人公を取り巻く”普通”の人たちはそうではなかった。自分たちの”普通”が通用しない主人公を異物のように扱い、どうにか自分の理解できるモノに近づけようと過干渉を起こしてしまう。

そんな環境で、ある出来事からおきた、主人公の作っていた完全に分別された世界の壁が壊れてしまった瞬間のあの焦りは、たしかにシーンは違えど自分の中にも通ずるものがあった。ラスト数ページの狂気に引っ張られて、主人公を狂人のように捉えてしまってしまうが、あの劇中に出てくる登場人物はもれなく全員真人間だ。